paper of the week #25

Hyperoxia-induced Tissue Hypoxia: A Danger?
Anesthesiology:Volume 106(5)May 2007pp 1051-1055

高酸素血症が逆説的に組織の低酸素を引き起こすという学説があります。この学説によれば、高濃度の酸素の吸入は肺傷害を引き起こす原因となるばかりでなく、組織の低酸素も引き起こし、とても危険だと云うことになります。

The Journal of the American Society of Anesthesiologists, Inc. – Anesthesiology Fulltext: Volume 106(5) May 2007 p 1051-1055 Hyperoxia-induced Tissue Hypoxia: A Danger? (だれでも自由に閲覧可能です)

高酸素血症が徐脈を惹起し、心拍出量の低下を招き酸素運搬が減少する。これにより組織低酸素が生じる可能性がある。
加えて以下のような現象によっても組織への酸素運搬能が障害される可能性がある。
高濃度の酸素を吸入すると換気量が増大し、血中の二酸化炭素濃度が減少し動脈の収縮により組織血流が減少すると言う機序である。
この現象のメカニズムとして、高濃度の酸素により活性酸素種(ROS)が発生しそのROSが脳幹の炭酸ガスセンサーを直接刺激する、抑制性のインプットを酸素が脱抑制する、加えてHaldane効果により脳幹の二酸化炭素の濃度が上昇するなどの機序で換気量が増えていくと言う考え方が提唱されている。
自発呼吸をしている人でないとこの機序は働かないことに注意!!

この説が果たして正しいのだろうか、本当に高酸素血症は有害な影響を人体に及ぼすのだろうかというのがこの論文で検討される問題である。

この問題に結論はまだ無いということがこの論文の主張である。

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