paper of the week #28

Effect of post-retrieval propranolol on psychophysiologic responding during subsequent script-driven traumatic imagery in post-traumatic stress disorder.Journal of psychiatric researchよりpost-traumatic stress disorder (PTSD)を引き起こすような強いストレスを受けた直後にベータブロッカーであるpropranonolを服用するとPTSDの発症を抑制できるのだという報告があるのだそうです。しかし,その効果には至適なwindow periodがあり,適切な時間を逃すと効果が期待できないという事も一応判明しています。PTSDの症状の特徴の一つは、症状が”反復的かつ侵入的な”想起を伴うというものがあります。このような想起の後にpropranololを服用すると果たして予後に影響を与えるか否かをこの論文では検討しています。 

血圧が低い、喘息や糖尿病などを合併しているなどのベータブロッカーの投与が適切でない患者は除外され、DSM-IVによりchronic PTSDと診断された患者19人が対象です。propranonol群とプラシボ群に分類します。トラウマを想起させるような面接を行い、いったんトラウマを想起させます。その後propranonol 40mgかプラシボを投与します。血圧を指標にpropranonolの効果を判定し不足なら追加投与を行います。一週間後,pychophysiologic script-driven imagery procedureという検査を行って心拍数、皮膚の電気伝導度、顔面の筋肉の筋電図などを記録して身体反応の大きさを評価します。結果としてpropranonol群で統計学的に有意の身体反応の抑制が観察された、と報告しています。この結果から、propranonolは,慢性的なPTSDの患者において、トラウマの想起の後に服用した場合、予後の改善に役立つ可能性があると結論しています。こういった効果は周術期にも成り立つのでしょうか。

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