”臨床サイトカイン学”

“臨床サイトカイン学“

LiSAに連載されていた小論文などが一冊にまとめられています。
臨床サイトカイン研究会 編と云うことになっています。著者はほとんど関西在住で、京大系の先生方です。顔を直接ぼくが知っている先生も多数。
あくまでも”臨床”サイトカイン学にこだわり分子生物学的な説明などには重きが置かれていません。


一方、細胞、またはネズミを用いた実験結果をもって、ヒトのある種のサイトカインである病態を説明する様な解説もありすこし気をつける必要があります。
日本は多くのサイトカイン研究者を排出した国であり、はサイトカイン学が免疫学の一角を占めていた時代もあったと聞きます。この本の内容はそのような熱病的なサイトカイン学とは無縁です。

目次を以下に示しました。
第5章 サイトカインによる疾患・病態鑑別の試み
第6章 疾患・病態に特異的なサイトカイン
第7章 診断上あるいは病態の把握に有用なサイトカインパターン
などはとてもおもしろい考えが示されていると思います。
第3章 疾患・病態とサイトカインは執筆者の研究成果を引用しながらの各論であり、ややバランスとまとまりに欠けるものも含まれている。

SIRSと云えばNF-kBとかいう単純な発想に毒されている麻酔科医は是非とも読むべき本だとおもいます。

目次
第1章 臨床に役立つサイトカインネットワークの知識
第2章 サイトカインで症状、病態、検査データを理解する
第3章 疾患・病態とサイトカイン
1細菌感染とサイトカイン
2ウイルス感染とサイトカイン
3周術期の生体防御反応:SIRSとサイトカイン
4ショックとサイトカイン
5輸血副作用におけるサイトカインの役割
6GVHDとサイトカイン
7膠原病とサイトカイン1:RA,SLE
8膠原病とサイトカイン2:IL-18を中心に
9免疫不全とサイトカイン
10血球貧食症とサイトカイン:リンパ腫を中心に
11悪性リンパ腫と腫瘍熱
12サイトカイン産生腫瘍
13皮膚疾患とサイトカイン
14妊娠成立・維持とサイトカイン
15喫煙による白血球増加とサイトカイン
第4章 抗サイトカイン療法:急性血液浄化を中心として
第5章 サイトカインによる疾患・病態鑑別の試み
第6章 疾患・病態に特異的なサイトカイン
第7章 診断上あるいは病態の把握に有用なサイトカインパターン
第8章 サイトカインの新しい測定法:フローサイトメトリによる測定
第9章 サイトカイン豆知識

Similar Posts: